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シーラカンスの謎シーラカンスは脳みそがとっても小さい?

シーラカンスの謎

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「生きる化石」ともいわれるシーラカンスは、化石種とほぼ同じ古い形態を持ち続けている貴重な魚類です。シーラカンスは人間をはじめとする陸上に住む生物と関連が深いとされており、シーラカンスを研究することで人類のルーツをより深く知ることができるとされています。そんなシーラカンスは体長2m近くに達する比較的大きな魚であるものの、体と比較して非常に小さな脳を持っていることが知られており、シーラカンスの脳がどのように発達するのかについての研究結果が発表されました。

Neurocranial development of the coelacanth and the evolution of the sarcopterygian head | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1117-3

We scanned one of our closest cousins, the coelacanth, to learn how its brain grows
https://theconversation.com/we-scanned-one-of-our-closest-cousins-the-coelacanth-to-learn-how-its-brain-grows-115147

多くの化石によって存在が知られていたシーラカンスは、白亜紀の終わりと共に絶滅したと思われていましたが、1938年になって南アフリカで生存が確認されて世界を驚かせました。さらに科学者たちを驚かせたのは、シーラカンスが化石で見つかっていた種とほぼ同じ形態をとどめていた点です。

当時、シーラカンスは陸上に進出してやがて人間やほかの四肢動物へと進化した魚類の直系子孫と考えられていました。そのため、シーラカンスについて詳しく研究することで、人間やその他の動物がどのように進化したのかという謎を解き明かすことができると期待されていたとのこと。

進化の起源についての研究の進展や新たな化石の発見、DNA解析技術や分子生物学の研究結果などによって、シーラカンスは人間や四肢動物に最も近い親類とは考えられていません。今ではシーラカンスよりもハイギョの方が人間や四肢動物に近い存在とされています。

それでも、シーラカンスは進化の起源を解き明かす鍵となりそうな特徴を持っているとのこと。シーラカンスの頭蓋骨は「頭蓋内関節」と呼ばれる関節によって内部が半分に分断されており、この関節はすでに絶滅してしまった人間の先祖のように、非常に原始的な魚類にしか見られないものだそうです。

また、ほかの脊椎動物と比べてシーラカンスの脳は頭蓋骨と比較して非常に小さく、頭蓋骨容積のわずか1%ほどの大きさしかありません。一方で頭蓋骨の後部には、驚くほど大きな脊索が存在しており、この特徴はすでに絶滅した人間の先祖となる魚類と共通しています。そこで、ブリストル大学のHugo Dutel氏らの研究チームは、シーラカンスの脳がどのように発達したのかを調査することにしたとのこと。

脳の発達を研究するには、生まれたばかりのシーラカンスから成体のシーラカンスを調べる必要があります。しかし、そもそもシーラカンスは水槽で繁殖できない珍しい魚である上に、メスが胎内で卵をふ化させてある程度成長するまで育ててから産む卵胎生です。世界的に保護されているため、無理矢理子どもを胎内に宿しているシーラカンスを捕獲するわけにもいきません。

そこでDutel氏らの研究チームは、子どもを宿していたわずかな捕獲例から得られた稚魚の標本を用いることにしました。長い間、研究者らは貴重な標本を解剖して内部を調査することができませんでしたが、フランスにあるヨーロッパシンクロトロン放射光施設のX線スキャニング設備と強力なMRIを使用することで、標本の内部構造を分析することに成功したとのこと。

得られた分析データを基に成長の各段階における頭蓋内の3Dモデルを作成した結果、シーラカンスの発達中に脳の相対的な大きさが劇的に小さくなっていることが明らかになりました。脳もゆっくりと成長してはいるそうですが、頭蓋骨をはじめとする部位の成長がそれを大幅に上回っているそうです。また、通常の脊椎動物では発達初期の段階で脊索は退化してしまいますが、シーラカンスでは脳よりもはるかに大きく成長するとのこと。下の画像はシーラカンスの成長段階における頭蓋骨内の構造を示していますが、胎児(Fetus)の段階から成体(Adult)になるまで、脊索(緑色)は次第に大きくなっている一方で脳(黄色)はほとんど成長していないことがわかります。


 
なぜシーラカンスの脳が非常に小さいのかという点については、脊索の発達や頭蓋内関節など、複数の要因が重なったのではないかとDutel氏らは推測しています。また、鼻の付近にある電気を感じ取る器官でエネルギーを大きく消費するため、脳の成長を犠牲にしているという可能性もあるとのこと。

シーラカンスの生態の多くは謎に包まれていますが、脊椎動物の進化や起源を理解するための有望な手がかりを持っていると、Dutel氏は述べました。

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