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貧困がいかに人の人生を左右するのか(マシュマロ実験の再現結果から)

親の年収と知能の問題

薄々感じてはいましたが、ちゃんとデータとして現れると残酷なものがあります。

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学歴とも相関関係あり

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東大生の親は高収入である傾向がある。しかし、当然例外はある。ただし一般論として親の収入が子供の学歴と比例する場合が多い。

 

要約すると、貧しい家庭に生まれた子供はそもそも約束を守ったところで対価が得られない環境(親が貧乏でマシュマロをあげられない)にあるために、約束を守ることはしないし、明日を生きるために目の前に出されたマシュマロ(実験用)はすぐに食べてしまう。

つまり、貧しいが故に今を生きるので精一杯で、将来のことなど考えていられない。

そのため、勉強に精を出すことができず、低所得になってしまう可能性が高い。

貧しい家庭にの子供は知能が低くなってしまう傾向にあり、この負の連鎖から逃れることが非常に難儀であるということである。

マシュマロ実験

子ども頃の自制心がその後の人生における長期的な成功と関連するという「マシュマロ実験」を懐疑的にみた研究者が、より大きな規模で実験の再現を行いました。子どもの人種・親の学歴・家庭の年収などを考慮した結果、子どもの長期的な成功にとって重要なのは自制心よりも「社会的・経済的環境」であることが示されています。

Revisiting the Marshmallow Test: A Conceptual Replication Investigating Links Between Early Delay of Gratification and Later Outcomes - Tyler W. Watts, Greg J. Duncan, Haonan Quan, 2018
http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797618761661

The Marshmallow Test: What Does It Really Measure? - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/family/archive/2018/06/marshmallow-test/561779/

◆マシュマロ実験とは?
マシュマロ実験は1960年代後半から1970年代前半にかけてスタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏が実施したもので、マシュマロを使って子どもたちの自制心と将来の社会的成果の関連性を測ることを目的としていました。

スタンフォード大学で行われたマシュマロ実験には4歳の子どもたち186人が被験者として参加し、子どもたちは一人ずつ、マシュマロ1個と机とイスだけがある部屋に通されました。実験者は「私が帰ってくるまでの15分の間、マシュマロを食べるのをがまんしたら、マシュマロをもう1つあげる」と子どもたちに告げて部屋を去り、その後の子どもたちの行動を観察。その結果、実験者が戻ってくるまでがまんをし通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは3分の1ほどで、追跡調査の結果、マシュマロを食べなかったグループは後の人生で優秀だと評価されたことが判明しました。マシュマロを食べた子どもと最後まで食べなかった子どもでは、大学進学適性試験(SAT)の点数が、トータルスコアで210点も異なることも判明しています。


マシュマロ実験は大きな注目を集め、その後の別の調査では「貧しく生まれた人は努力して自制心を身につけることで成功を手にするが、それと引き替えに健康を失うという可能性がある」ということも述べられています。

自制心レベルを計る「マシュマロ・テスト」で健康を害するパターンあり - GIGAZINE


◆マシュマロ実験を再現した結果
しかし、2018年5月25日に発表された研究は、マシュマロ実験の結果を「限定的だ」とする内容となっています。

ニューヨーク大学のテイラー・ワッツ氏とカリフォルニア大学アーバイン校のグレッグ・ダンカン氏、ホアナン・カーン氏はマシュマロ実験の結果は疑わしいとみて、被験者の数を900人以上に増やして実験を行いました。このとき、被験者となる子どもは人種・民族性・親の学歴といった点において、アメリカの国民を反映したものとなっていたとのこと。また、実験結果は子どもの家庭の年収といった特定の要素について調整が行われました。

結果、最新の研究で示されたのは、「自制心がよりよい結果を生み出す」とするオリジナルのマシュマロ実験が示す結果は限定的であるということでした。ワッツ氏らの研究において、2個目のマシュマロが得られるかどうかは、大部分が「子どもの社会的・経済的背景」に左右されるということ、そして自制心ではなく社会的・経済的背景が、長期的にみた子どもの成功のカギとなっていることが示されました。

マシュマロ実験に限らず、科学界では過去に示された科学的研究の結果を再現できないとする「再現性の危機」が問題となっています。最新の研究結果は、オリジナルの実験結果が再現不可であること共に、「オリジナルのマシュマロ実験を行った研究者らが考えていたよりも、子どもたちをとりまく環境は、その後の子どもたちの人生にとって重要である」という重大な事実を明るみにしました。


ワッツ氏は子どもが生まれるまでに大学教育を終えていなかった母親に焦点を当てた分析を実施しています。オリジナルの実験はスタンフォード大学のコミュニティ内の被験者に限られていたため、これにより広範な被験者についての調査が可能になりました。

今回の研究では、母親が学位を持つ場合、2個目のマシュマロを得ることができた子どもは、SATの点数と後に行われた母親による報告の両方において、2個目のマシュマロが得られらなった子どもと差が見られなったとのこと。そして、母親が学位を持たない子どもにおいても、2個目のマシュマロを得られた子どもと得られなかった子どもで差はありませんでした。重要なのは子どもが3歳の時点における家庭の年収と環境であり、自制心の程度は経済的・社会的な不利益に勝るものではなかったといいます。

今回の研究は「貧しい家庭の子どもは将来への保障が裕福な家庭の子どもに比べて少ないため、2個目のマシュマロを得るためのモチベーションを得にくい」ということも示されています。貧しい家庭の子どもは「今日食べ物があっても明日はないかもしれない」という可能性が常にあり、経済的な理由から「買ってあげる」いう約束が破られることも考えられます。

一方で、学歴が高く裕福な両親を持つ子どもは経験から「大人は食べ物を所有するだけのリソースと経済的な安定性を持っている」ということを知っているため、「喜びを先延ばしする」ということが比較的簡単にできます。

2013年にはハーバード大学の経済学者であるセンディール・ムライナサン氏らが、貧困であることがいかに人々に長期的ではなく短期的報酬を求めさせるかを研究で示しました。今回の研究は、過去の研究が示す「十分にリソースがあるかどうかが人々の考え方を変える」という内容と一致しているわけです。

gigazine.net

 簡単に言えば、生きるために必死な人は将来への保証がないため、今得られる最大の利益を得ようとして、貧困の道に進んでしまうということです。

家庭環境が貧しいと子どもの脳は「貧困脳」になる

貧困が「子どもの脳の発達」に強い影響を与えることが研究により明らかになっていますが、コロンビア大学神経科学者であるキンバリー・ノーブル氏が「貧困と脳の関係」を視覚化した画像を一般向けの科学雑誌としては世界最古のScientific Americanの中で公開しています。

This Is Your Brain on Poverty - Scientific American Blog Network
https://blogs.scientificamerican.com/sa-visual/this-is-your-brain-on-poverty/

ノーブル氏はさまざまな社会経済的背景(SES)を持つ約150人の子どもを被験者として集め、脳の特定部分に関連する認知能力を評価するための標準的な心理テストを行いました。

心理テストの結果を示したのが以下のグラフで、横軸が被験者のSES(高いほど裕福な家庭であることを示す)、縦軸がテストのスコアを示しています。

グラフは左上から

「Language Skills(言語能力)」

「Perception of Spatial Relationships(空間的関係の認識)」

「Memory of Facts and Events(真実と出来事の記憶)」

「Cognitive Control(認知制御)」

「Short-Term Memory(短期記憶)」

を示しており、程度の違いこそあるものの、すべての認知能力で「貧しいほど認知能力が低い」という正の相関があることがわかります。



「貧困環境で育った子どもは脳の皮質の一部面積が減少している」ということを示したのが以下の図。「皮質面積の減少」が見られる領域は帯状回・楔前部・下前頭回・上前頭回・下側頭回で、図では赤色に塗られています。


以下のグラフは横軸が家庭の年間収入、縦軸が脳の皮質面積を示したもの。特に注目すべきなのは、年間収入が5万ドル(約570万円)以下の家庭の子どもは収入が低ければ低いほど皮質面積が指数関数的に縮小する傾向にあるという点。


最も低所得な貧困環境で育った子どもたちは、脳の発達において重度の損失を被っている、というわけです。

 

gigazine.net

貧困は若い脳にどのような影響を与えるのか?

What Poverty Does to the Young Brain - The New Yorker
http://www.newyorker.com/tech/elements/what-poverty-does-to-the-young-brain

そのレビット氏が近年注目しているのが「貧困の胎児に対する影響」です。ハーバード大学National Scientific Councilによると、「人口の過密な場所や騒音、標準以下の家、親との別離、暴力にさらされるなど、極度のストレス下に置かれることは脳の発達にとって毒である」とのこと。

人がストレス下に置かれると、副腎皮質ホルモンの一種であるコルチゾールが分泌されるのですが、近年の研究ではコルチゾールが人間の記憶形態に深く関わるとされる脳の海馬を収縮させることが分かっています。胎児は母親の胎盤を通してホルモンを摂取しますが、「胎盤を通してコルチゾールの影響を受け脳の神経回路を変質させられた胎児は、生まれた後、成長していく段階で自分が分泌したコルチゾールに脳の成長を阻害される可能性がある」とのこと。

Acta Paediatrica誌には口を動かしたり顔を触ったりする子どもの超音波写真が掲載されましたが、これは母親にストレスがたまったり、母親がタバコを吸った時に現れるもので、神経系の発達が遅れのサインと考えられています。

また2015年3月、9つの病院や大学が協力して1000人の子どもを対象とした研究が行われ、Nature Neuroscienceに論文が掲載されました。研究では、子どもからDNAサンプルを採取し、MRIスキャンを行い、家族から家庭の収入や教育に関するデータが集められた上で、読解能力や記憶力に関するテストが行われました。DNAサンプルを収集することで、子どもの脳に対する影響のうち遺伝的要因を取り除き、MRIスキャンによって大脳皮質に焦点を当てるとともに、海馬の大きさや大脳皮質に刻まれたしわの深さが観察されたわけです。

実験の結果、最も教育的な家庭で育った子どもは大きな海馬を持ち大脳皮質も大きいことが判明しており、同時に最も収入が低いグループの子どもは高いグループの子どもに比べて大脳皮質が6%ほど小さいことも分かりました。しかし、中流階級の家庭の子どもと裕福な子どもの脳に違いはさほど見られず、「豊かな富は必ずしもよい脳を作るとは限らないが、貧困は脳を弱くする」と言えるわけです。

 

この時、家庭の収入と大学進学がどのくらい関係あるのか?ということが気になってきますが、The New York Timesではグラフを描き、自分の予想と実際の数値にどれくらい差があるのかを調べられるようになっています。

You Draw It: How Family Income Predicts Children’s College Chances - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/interactive/2015/05/28/upshot/you-draw-it-how-family-income-affects-childrens-college-chances.html


横軸が親の裕福さを、縦軸が大学進学率を示すので、自分の予想をグラフにして「I'm done」をクリックすれば、自分の予想と現実のズレが分かるわけです。


これまでの研究で貧困が脳に影響を及ぼして次の世代の貧困を生みだしていくことがハッキリしており、問題のある親や子どもが非難されることがありますが、レビット氏らは「健康な脳を作るために貧困のサイクルを断ち切る必要がある」と主張しています。

 

gigazine.net

 

この問題にどう対処するのか

この世の中に公平や平等などは存在しないのが現実である。

しかし、だからと言って何もしないわけにはいかない

 やはり、最低限生きられるだけの社会保障が求められるのだろう。

近年盛んに唱えられているベーシックインカムが最も適していると考えられるが、現実可能性があるのかと言われれば、今現在では不可能と言わざるを得ないだろう。

機会の平等と結果の平等

機会の平等:
ある会社Aに月に3000万の売り上げを上げるBさんと、月に1万円の売り上げをあげるCさんがいました。
Bさんの給料は300万円で、Cさんの給料は1000円です。

結果の平等:
ある会社Aに月に3000万の売り上げを上げるBさんと、月に1万円の売り上げをあげるCさんがいました。
Bさんの給料は100万円で、Cさんの給料も100万円です。

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